The Impossible Dreamers/Spin (12")
Emotional Rescueは、レーベルがオールタイムで愛されてきた作品をライセンスし、リマスター。今日のコレクター向けに現代のプロデューサー達による新たな解釈で再評価する、定義のないリイシューのシリーズを完結させます。
このシリーズは2019 年に、尊敬されるディガーCherrystonesによるディープなドローン・ミックスをフィーチャーしたHawkwindの広大なサイケデリック・エレクトロニクス(ERC074)、友人でプロデューサーのBullionによる素晴らしいリワークをフィーチャーしたThomas Leerの弾むようなコズミック・バレアリック(ERC075)、そして、The Embraceのポスト、パンク・ダブとTimothy J Faiplayの思慮深いイタロ、ダブ・エクスカーション(ERC076)で始まりましたが、いつも一人のアーティストとプロデューサーが取り残されていました。最後は、80年代初期のバンド、The Impossible Dreamersのパーカッシブなエクスカージョンで、彼らのカルト的なB面ジャム”Spin”のオリジナル、そしてレーベルの常連であるDan Tyler(Idjut Boys、Noid)のNAD名義による、9分に及ぶパーカッションとダブのエクストラバガンザ、エクステンデッド・リヴァージョン、そしてダブ・ヘヴィなリプライズを収録した(EC077)です。
エクセター大学在学中に、Caroline Radcliffe、James Hood、Justin Adams、Nick Waterhouseを中心とした友人グループによって結成された彼らのデビュー12インチは、100 Things To Doレーベルがリリースした3枚の内の1枚で他の2つのリリースは、2022年のHamburger All Stars”Swinging London”12インチ(ERC114)で既に取り上げられています。
ウエスト・ロンドンに移る前にレコーディングされた”Life On Earth”は、ダブ、ファンク、ヒップホップ、アフリカ音楽の影響が光る、生々しいポストパンクのヴォーカル・ポップ・カットで、彼ら自身の言葉を借りれば、”目的のない若い音楽ファンが始めた”ものだった。
しかし、物事が面白くなってきたのはB面でした。12インチ・シングルの延長というトレンドに魅了された彼らは、A面を完成させた後、メンバー全員がパーカッションを演奏するドラム・ジャムをレコーディングし、その後オーバーダビングをするという、スタジオでの実験的な試みを行い、記憶は曖昧ですが、当時のバンドは8人編成だったので、当時のエッセンスを取り入れたカオスが爆発した作品に仕上りました。NickとJamesの4手ピアノに、Carolineのオーボエが加わり、更に大声とウープ・ヴォーカルが加わった”Spin”は、5分間のエネルギーの爆発です。
事実上、1982年に自主制作でリリースされたこの曲は、バンドにとってあまり期待出来るものではありませんでしたが、この12インチが彼らをロンドンに導き、後にRCAと契約する名刺代わりとなりました。同じ頃、”Spin”は80年代初頭のオルタナティヴ・クラブの世界で発見されつつありました。ニューヨークを旅行した時、ダウンタウンでこの曲が流れているのを耳にし、DJに尋ねたところ、そのDJがプレイしていたのは、公式にはリリースされなかったもので、アメリカのクラブDJの為だけにアメリカでカットされた7インチでした。
その共鳴は更に広がり、イタリアのCosmic clubのレジデント、常に探し続けるDanielle Baldelliへ、数年後、若きAndrew Weatherallが、80年代後半の”Summers of Love”でオルタナティヴな”Balearic”ビートを追求した際に取り上げられ、最近ではニューヨークでJoe Clausellのエディットが施されました。
レーベル・シリーズに合うようにリメイクするために、レーベル・フレンドのDan Tylerに彼が得意とするダブ・マシーンやペダルにオリジナルを通し、ダンスフロアを文字通り熱狂させる刺激的な”Reverse”を作るよう依頼するのは当然のことでした。パーカッションは白熱し、ループし、からみ合い、ピアノは抑えて最後にダブ・エフェクトの靄の中で解放されます。
続いて”Riddim Reprise”、ロンドンを拠点に活動するドラマー、Matt Bruce(Claptrap)と組んだこのミックスは完璧なDJツールで、ただジャムって何が起こるか見ようというバンドのオリジナル・アイデアを、スペース・エコーとリバーブたっぷりにねじ曲げ、完璧な12インチ・エクステンデッド・ミックスに仕上げたものです。