Mouse on Mars/Herzog Sessions (LP")
2007年、イタリアの映画祭が、Mouse on Marsに彼らが選んだ映画のスコア制作を依頼しました。主催者側は、バンドが選ぶどんな映画の権利もクリア出来ると主張していました。Werner Herzogのフィクション・ドキュメンタリー”Fata Morgana”は、Herzogと彼のチームによるいくつかの砂漠探検の映像を1つの連続した作品にまとめたもので、長い間バンドのお気に入りだった。この映画には、モーツァルト、レナード・コーエン、サード・イヤー・バンド、フィールド・レコーディングによるサウンドトラックが付属しています。後日Andi TomaとJan St. WernerはDVDをデュッセルドルフで受け取り、仕事を始めます。映画の音楽はリアルタイムで作成するというアイデアだったので、ギター、パーカッション、エレクトロニクス、マウスハープ、ペダル、ソフトウェア、テープ、サンプラーといった楽器を直ぐに手元に用意しておく必要がありました。3部構成の映画のアレンジが決まると、Mouse on Marsはスコアをステージに持ち込んだ。Herzog Sessionsは2回演奏されます。1回目はバンドがまだ権利がクリアされていると思っていた時、2回目はロンドンのSouthbank Centerで演奏されました、この時Herzogは新しいスコアを決して承認しないだろうと分かっていました。
Mouse On Mars – London Queen Elizabeth Hall soundtracking Werner Herzog.
By Mike Diver, 24.04.2009
1971年に撮影されたFata Morganaは、おそらくHerzogの最もよく知られている作品の一つではありません(Grizzly Man、Rescue Dawn等を考えてみて下さい)。しかし、Mouse on Marsは決してメインストリームを受け入れるバンドではなく、クラウトロックをモダンでエクスペリメンタルなテイストで表現する事を長年にわたって黙々と続け、控えめなプロフィールを遥かに上回る、素晴らしいエレクトロニカを生み出してきました。
この映画そのものは、Phillip Glassが音楽を担当したKoyaanisqatsiと全く同じで、広大な風景のショットがあり、明白な筋書きや物語はなく、Fataは完全にサハラ砂漠とその周辺という1つの場所に集中してます。不毛の荒野のイメージから砂漠の部族や骸骨のような牛の死体へと切り替わっていきます。
このような力強いイメージをサウンドトラックにする場合、長時間持続できるドリーミーなエレクトロニックのサウンドスケープを張り合わせるのは当然です。結果、このアンビエントなシューゲイザーのアプローチは適切であり、正しかった(又、慎重に構成され、非常に効果的だった)。Mouse on Marsはパフォーマンスに人間的な要素を加え、ギター、ハーモニカ、加工されたヴォーカル、そして映画の最後の部分では生演奏のホーン奏者(恐らくフリューゲルホーンかもしれません、信じられないなら調べてみて下さい)を使い、ループさせる事でライブの特質を取り入れています。
最も興味深かったのは、デュオが同じ映像の場面中に、荘厳なアンビエント調からグリッチで跳ねるエレクトロ調(よりアップビートな作品を彷彿とさせる)に突然切り替わった時です。これにより、観客の気分はトリップしたような至福感から、注意深い半ば麻痺した状態へと一変し、この映画が持っていたであろう物語性の概念を完全に覆す事になります、巧妙な事です。
不吉なものからシュールなもの、そしてユーモラスなものまでFata Morganaで描かれた全てのムードが、Mouse on Marsのライブ・レコーディングによって見事に調和します、これは並大抵の事ではありません。又、このデュオは自分達のサウンドトラックで、ただでさえユニークな映画に更に魅力的で個性的な特徴を加えるという、任務以上の事ををやり遂げたのです。